このページでは、会社法の中で最も重要な基礎となる「法人格否認の法理」「株式会社の特徴」についてまとめました。
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【目次】
- 法人格は否認できるか?
- 株式会社の特徴とは?
法人格は否認できるか?
初めて聞く人にとっては何を言っているのか分からないかもしれません。
そもそも、法人格というものを聞いたことが無いかもしれません。ですが、「〇〇法人」というのは聞いたことがあるのではないでしょうか?
NPO法人などがよく聞くかもしれませんね。
あれはそもそもどういったものなというと、超簡単に言えば「会社などの団体を人とみなす」事です
ある会社が何かしらの会社と取引をする際、法人であれば、会社の代表が取引をするという訳ではなく、会社そのものが一個人として取引を行うといった感じです。
法人格は、会社に人同様に法律行為を為し、権利義務の主体となることを認める事を意味します。
では、その法人格を否認できるのか?というのは、超簡単に言えば
「制度を悪用する会社の責任追及がおよそ不可能な場合、救済として個人の責任が認められないか?」
堅めの言葉で書くと、
「形骸化した会社(会社として存在はしているがほぼ動いていないダミー会社的なもの)、会社を責任逃れの道具に使った個人に対し、法人ではなく個人としての責任追及は認められるか?」
一つ目の、形骸化した会社は凄く分かりやすいかと思います。そもそも会社として成り立ってないので、法人かどうかすら怪しいためです。(形骸化のパターン)
二つ目は分かりにくいですが、「会社」と「社長」は別物だと思ってください。
その上でたとえ話を出します。
「ある会社Aがあり、その社長Xは、法人として借金1億円を抱えた(形骸化はしていない)。法人格により、借金をしたのは会社Aとなるため、社長Xが借金をした訳では無い。そこで社長Xは、別の会社Bを作り、全従業員と資本を全てそちらに移して会社Aを潰した。
責任は会社Aにあるので、全責任は会社Aが負って、社長Xは関与していない事になるんですね。
そんな時、社長Xに責任を追及(法人格を否認して、個人の責任を追及)できないか?という主張です。(濫用のパターン)
答えは「できます(判例あり)」
日本では明文として規定はされていませんが、最高裁により判決が出され認められたという結果となったため、法人格否認の法理は認められています。(余談ですが、この法的根拠は会社法・商法にはなく民法にあると解釈されています。)
株式会社の特徴とは?
そもそも、会社は一人だけで成り立っている事は少なく、様々な人が絡んでいる事が多いです。
「オーナー」「マネジメント」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
これらはそもそもなんなのでしょうか?
端的に言えば、オーナーは会社(株式)の所有者、マネジメントは社長などの経営者です
これを分離しようとする事を「所有と経営の分離」と言います。
株式会社はこれが前提となって機関設計がなされています。(一人でやるのはキツすぎるから、経営はプロに任せたい!!的な感じ)
但し小さい会社では、社長が100%株主の場合もあり得ます。ですが、この場合も所有と経営は分離していると見なされます。そのため、この場合も会社の借金は社長ではなく会社の借金です(当然それを濫用すれば社長の責任が追及されますが)。
※持分会社では所有と経営は一致しています。他にも持分会社が株式会社と異なる点はいくつかありますが今回は省略
〇株式資本の回収方法について
株主はお金を出しますが、そのお金は当然後に回収します。これは出資者なので当然ですよね。
株式会社では、「会社から直接回収はできない」が、「配当」「売却」などで回収することが出来ます。
持分会社では、持分を「退社」「譲渡」などで回収することが出来ます。退社で出資金が戻るのは、小さい会社だと個人の責任が大企業に比べ重くなりがちなので、退社しやすいようにするためです。株式とは割と異なります
このように株式は持分会社のように出資の払い戻しではなく(株式譲渡(127条))、株式の売却で利益が出る仕組みになっています。100万円払って100万円戻るのと、100万円払って会社が成長したから300万円で売って200万円戻ってくるなら誰だって後者にお金を払いたいですよね。
(持分が利益が出ない訳ではありませんが、株式ほど手軽には扱いにくいです)
以上が今回の内容となります。
法人格否認の法理と、株式会社の特徴が理解できたならば幸いです。
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