会社はどうやって作るのでしょうか?ここでは、この会社設立に関する話をしていきます。

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【目次】

 

会社設立の流れ

  基本的には、「定款の準備」→「株式発行・引受」→「機関形成」→「出資履行・財産形成」→「設立登記」によります。

この5つの段階について、ここから順次解説していきます。

 

定款の準備

  そもそも定款(ていかん)というのは、「会社内でのルール」のことです。これが無いと、ルール無用の無法地帯だらけの会社になってしまいますよね。そのくらい大事なもののため、会社設立ではこの定款の提出が必須になっています。

定款に記載するのは

の3つです。

  絶対的記載事項では、事業目的や本店所在地、商号、資本金、発起人など、会社を作る時に誰がどう考えても必須と言えるものです。(これが無いと、事業目的不明で商号も不明、資本金も不明という訳の分からない会社(笑)も存在できてしまう……)

  相対的記載事項では、例えば株券発行などがこれにあたります。定款に「株券を発行する」と記載しない限りは、その会社は株券不発行会社となります。「株券を発行する」と記載して初めて株券発行会社となります

  任意的記載事項では、株主総会の招集方法や公告方法などがこれにあたります。書かなくても法律上は問題はありませんが、書いてある方が会社としてはいいですよね。

 

発起人の開業準備行為は会社が行ったものと言えるのか?

  発起人(株式会社の設立にあたり、定款の準備などを行う中心人物のこと)は、会社の設立のために必要な行為を行わなければなりません。

〇重要論点(百選5掲載)

  「発起人による開業準備行為は会社の権限内行為か?」

 

パッと見だとちょっと分かりづらいですよね。これは、簡単に言うと

「会社を作る準備をした人による、準備という行為は、会社がやったことにしていいんじゃね?」

  という感じです。

  これは、通常「会社の設立行為」に対する損害賠償請求は認められていたが、「会社が設立される前の発起人による設立行為」についても損害賠償請求(828条1項1号)が出来ないか?という考えから生まれた主張です。

  会社ができる前に営業やら契約やらやって損害が出たなら、その行為に関しても賠償請求ができるのか?という事ですね。

 

判例を分かりやすく書くと、「発起人による行為は会社には帰属するが、設立後の会社に関する行為は会社に帰属しない

  もう少し詳しく書くと、「会社設立のための行為は当然会社に帰属するけど、設立後の事を設立前に色々やってるなら、それは会社に帰属しないよね。発起人が勝手にやったことだし」という感じ。

 

  堅い言葉で書くと、発起人による設立行為は会社に帰属する。しかし、設立後の会社のための行為は、会社の設立に関する行為とは言えないから、その効果は設立後の会社に当然帰属すべき言われはなく、結局、発起人が無権代理人としてなした行為に類似すべき

 

  要は、会社設立のための行為ならそれは会社に帰属するのですが、会社ができる前なのに契約だとか営業、(これらは会社が設立されていないとできないですよね)をしているならそれは会社に帰属せず、発起人による無権代理人(まだ会社は設立前なので、法人ではないのに勝手に代理人として行動した→会社ではなく発起人に責任アリ)と見なされるという事です。

 例えば、開業準備行為としてした広告宣伝契約は無効となった判例が存在します。

 

 実際には資本金が足りてないのに、外部からの借金などで払込があったように見せかける事です。

  会社設立後に返済が行われるため、この払込は資本金として手元に残りません。言ってしまえば資本金があるように見せかけて融資などを受けやすくする「詐欺」と言えます。

  そのため、当然と言えば当然ですがこの払込は無効となります(嘘ついて会社作ってるんだから当たり前ですよね)。

一般には「預合(発起人と金融機関が共謀して払込のように見せる」「見せ金(外部からお金を借りて資本金に見せかける)」と言われ、どちらも違法です(預合は965条、見せ金は判例・通説による)

  発覚した場合、有効払込がないなら「設立無効事由(設立が認められない原因)」に該当(25条2項、27条4号)し、この当事者は勿論のこと、共謀した関係者しているため責任を負わなければなりません(52条の2、102条の2、103条)。

  具体的には、仮想払込を使って会社を設立した者は全額支払義務が生じ、関与者(預合や見せ金での貸付人は当然のこと、会社の取締役なども会社関係人物なので含まれます)は全額支払義務が生じますが無過失が立証できれば免責もあり得ます。

 

株式の引受・出資の履行株式とは?

 株式の発行では、証券会社という株式のやり取りの仲介的な会社が存在します。

  会社(国・地方自治体でも可)Aが株式を発行したら、一旦証券会社Bがそれを買い取り、それを投資家Cに販売します。

※Bを仲介しなくても、直接投資家と取引することは普通にできます

  わざわざBを仲介するのは、「信用度の獲得(一度大手の証券会社を通す事で一定の信頼)」「資金調達のしやすさ」によるものです。ただし、基本的に売れ残りはBの負担になるためBはそれ相応のリスクを背負います(だからこそ審査が厳しいため信用度がある)。

  このように、株式を買い取って投資家に販売することを株式の引受と言います。証券会社の例を挙げましたが、別に証券会社である必要はなく、基本的にどんな個人でも企業でも可能です

 

  では、株式を購入するとしましょう。1株10万円の株式を100株購入すると決まりました。ですがこれではまだ不十分です。ちゃんと1000万円払って初めて認められます。

  このことを「出資の履行」と言います。出資した金額をちゃんと払ったという意味です。払わなければ出資の不履行となります。

出資の不履行があると「失権(36条、63条)」します。金払ってないなら株渡さねーよって感じです。

  これは別に株に限った話ではなく、「後払いで色々欲しい者買ったけどお金払ってないや」って言う感じで、当然これはそれを買ってないわけですから認められないですよね。要はこれと同じことです。

 

会社設立の2パターン

会社設立には2通りのやり方があります。

 

1つ目は、発起設立というものです。

 簡単に言えば、発起人だけで設立時に株式を全て引き受ける事です。

2つ目は、募集設立というものです。

 簡単に言うと、発起人は設立時に株式の一部を引き受けて、更に別の株式引受人(証券会社など)を募ります。

株式の引受を全部発起人だけでやるか、協力を募るかの違いですね。

 

  募集設立の場合、確実に出資をさせる事の担保のために「申込証拠金」を払い込ませることができます。その時点で株を全て買う訳ではなくても、ある程度仮のお金を払うことにより、「私は貴方の株を今後買う意思があります!!!」という意思表明的なものになります。

 

1000万円購入したいから、その意思表示で100万円を意思表示として払っておく、という感じです。これなら会社側も「この人はお金をちゃんと出してくれそうだな」って感じがしますよね。

 

  無論、申込証拠金を払い込んだからと言って必ずしも株を購入しなければいけないという訳ではありません

もし株を正式に購入するなら、出資金の一部に使われますし、購入しないのなら原則返還されます。

 

機関形成

  会社を作る際、役職などを決める必要があります(従業員が全員役職無しの平社員の企業なんて殆ど無いですよね)。

  取締役や監査役、株式会社なら株主総会など、会社の意思決定や業務を行う部の事を「機関」と言い、これを形成することを機関形成と言います。

  これらは主に、設立時に株主によって構成されます。審議事項としては、設立に関する事項の報告(87条)と設立時役員の選任(88条)です。

設立までにどういうことをやったか?役人はどうするか?ということを決めるという感じです。

  但し重要なこととして、当然ですが透明性が保たれている必要があります。定款や株式の引受などの設立前の作業が全て不透明な会社なんて恐ろしいですしね。

検査役が調査(33条)し、不当と判断されたらそれ相応の対応をしなければなりません。

  発起設立なら、裁判所による定款変更の決定(33条)

  募集設立なら創立総会の判断に服する(96条)

 

設立登記(法人格取得)

会社設立の最後の段階です。これにより法人格を取得し株式会社が成立します(49条)

 発起人は設立前から設立後までずっと関わっているので責任はずっと負いますが、株式引受人はどうでしょうか?

 設立登記が無い場合、責任は発起人の連帯(無過失責任)となり、株式引受人は責任を負いません(会社がそもそも存在していないため引き受ける株式すら無い)

 設立登記がなされた場合は、既に会社は存在しているため

 などの責任を負う可能性があります。

Aというものが1000万円の価値があると言ってAを出資したが、実際には100円ほどの価値しかなかったり、明らかにアウトなものを見過ごしたり業務をサボったり、消費者を騙して購入させた場合などです。誰がどう見たってアウトですよね。

 

 以上が会社設立の流れとなります。

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One response to “【会社法:設立手続】会社設立の方法とは?”

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