ここでは、高校化学における「酸と塩基」の分野の解説をしていきます
今回の内容は、「酸」「塩基」とは、そもそもどういったものなのか?についてです
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【目次】
- この分野では何をするのか?
- アレニウスの定義
- ブレンステッド・ローリーの定義
【この分野では何をするのか?】
「酸と塩基」この分野名が、教科書に載っているのを見て、最初に何をする分野なのか分かる人はそうそういないかと思います。
簡単に言えば、「中和滴定」というものの計算がメインになります。
Aという液体の濃度を求めるための操作なのですが、そこで使うのが酸と塩基の知識です。
例えば、0.01mol/L硫酸20mLに水酸化ナトリウムを滴下したら10mLで完了した。この時の水酸化ナトリウム溶液の濃度は?というように、「滴定」という操作で溶液の濃度を求めます(これは後々やります)。受験では基礎レベルの問題なので、是非頑張りましょう
「酸」とはどういうものなのか、「塩基」とはどういうものなのか。ここをしっかり理解しておけば、のちの中和滴定での理解がしやすくなるので、非常に大事な部分です。
また、この後の「酸化還元滴定」もかなり似ているため、この分野の理解が非常に大切になります。
【アレニウスの定義】
実は、「酸」「塩基」の定義は複数あります。時代によっていろいろと変遷してきました。高校の化学の中では、その中でも特に「アレニウス」「ブレンステッド・ローリー」という定義が出てきます。(実際にはルイスの定義や、他にも沢山あります)
アレニウスの定義は、簡単に説明すると……
酸・・・「H+(水素イオン)」を放出する物質
塩基・・・「OH–(水酸化物イオン)」を放出する物質
分かりやすい例を出してみます。
塩酸HClは、水に溶けるとHCl → H+ + Cl– と解離します。
水に溶けて、H+を放出しているので、塩酸はアレニウスの定義から「酸」となります

↑HClが水に溶けてH+とCl–に解離している図
水酸化ナトリウムNaOHは、水に溶けるとNaOH → Na+ + OH– と解離します。
水に溶けて、OH–を放出しているため、水酸化ナトリウムはアレニウスの定義から「塩基」となります
これらに共通するものは、化学式に「H+」か「OH–」を持っています。
こう考えると、硫酸H2SO4、水酸化カルシウムCa(OH)2、酢酸CH3COOHが酸なのか塩基なのか、すぐに分かりますね。硫酸と酢酸が「酸」、水酸化カルシウムが「塩基」となります。
H2SO4 → 2H+ + SO42-
Ca(OH)2 → Ca2+ + 2OH–
CH3COOH → CH3COO– + H+
(これを理解するためには、まずはイオンをしっかり覚える必要があります。酢酸イオンCH3COO–や、硫酸イオンSO42-など、イオンを覚えてください。)
しかし、この方法には重大な欠陥があります。
NH3は、酸なのか、塩基なのか?という事が、アレニウスの定義からは分かりません。
アンモニウムイオンがNH4+なので、アンモニアがイオンになったところでH+もOH–も放出できません。しかし、アンモニアは一般に「塩基」とされています。
では、どうやってアンモニアが塩基と判断できるのでしょうか?それが、次に紹介する「ブレンステッド・ローリーの定義」です。
【ブレンステッド・ローリーの定義】
酸・・・H+を放出する物質
塩基・・・H+を受け取る物質
酸は、アレニウスとほぼ同じですね。しかし、水酸化物イオンが消え、全てH+で定義されています。
先程、アレニウスの定義では酸か塩基か分からなかったアンモニアと水の反応を見ましょう。
NH3 + H2O → NH4+ + OH–
アンモニアは、H+を受け取りNH4+となっていますね。なので、ブレンステッド・ローリーの定義から「塩基です」
また、水はH+を放出してOH–になっているので「酸」です。

↑これを表した図
もちろん、先程の硫酸や水酸化ナトリウムも、このブレンステッド・ローリーの定義から同じ結論を得られます。
H2SO4 + H2O → HSO4– + H3O+
硫酸はH+を放出し硫酸水素イオンHSO4–になっているため酸、水はH+を受け取りオキソ二ウムイオンH3O+となっているため塩基です。この定義を使う時は、水を一緒に書く事を忘れないでください。
たまに試験でも聞かれるので、酸か、塩基か、どちらかを判断できるようにしておきましょう。
(硫酸、硝酸、塩酸や酢酸などの酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニアなどの塩基はよく出てくるので、できるだけ覚えておいた方がいいです。ただし、定義から考えておくと未知の物にも対応できるので、しっかり理解しましょう)
※少し応用(一般式)
HA + B → A– + HB+
一般式で、HAとB、どちらが酸と塩基なのか、判断できましたか?これができるようになれば、ブレンステッド・ローリーの定義はもう怖いものなしです。
HAはH+を放出しているので酸、BはH+を受け取っているので塩基ですね。

補足:アレニウスの定義はブレンステッド・ローリーの定義に含まれる
優れているものはブレンステッド・ローリーの定義です。しかし直観的に分かりやすいのはアレニウスの定義です。両方のやり方を知っておくと、判断しやすいです。
次回は、この液性(酸性、中性、塩基性)と、塩の分類(酸性塩、正塩、塩基性塩)についてです。
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